2017年は自分の中で、行ってみたいな~と思う美術展覧会は少なかったのだけど、
これだけは絶対に行きたいと思っていたのが、「怖い絵展」
開催してすぐは人が多いと思うし、
ちょっと時間が立ってから行こうと思っていたら、
宣伝効果か、どんどん来場者が増えていき、
日に日に待ち時間が増えていって、行くタイミングをすっかり逃していた。
開催期間残りわずかのタイミングでギリギリ滑り込んだ!!
怖い絵展
実は中野京子さんの怖い絵シリーズの作品は一度も読んだことはなかったのだけど、
絵画にはその時の時代背景や宗教面が表されるので、
とても勉強させられるし、
その歴史を知ってこそ感じられる何かがあると思っていたので、
「絵は感じるよりも知った方が面白い」という中野京子さんの言葉には
すごく共感した。
作品ひとつひとつにキャッチコピーをつけてくださっていて、
中野京子さんの情報を伝えようという思いを感じられた。
展示品は以下の6章で構成されていた。
第一章:神話と聖書
第二章:悪魔、地獄、怪物
第三章:異界と幻視
第四章:現実
第五章:崇高の風景
第六章:歴史
撮禁なので、記憶に残しながらではあるが、
作品について感じたことを書きとめておく。
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《オデュッセウスに杯を差し出すキルケー》
「さぁ、お飲みなさい」
この作品、展示会外で撮影スポットパネルが用意されていた。
オデュッセウスになれるパネルwww
いちおなってみた。
ただ・・・鏡になっているので
後ろに人が通るとアウトだし、
貼ってあるポスターが映りこむし・・・
やるんだったら、徹底的に撮影スポットを用意してほしかった。
制作年:1891年
所属:オールダム美術館
ジャン・ラウー《ソロモンの判決》
「元祖 大岡裁き」
2人の女性が自分の子供だと主張して、
では子を半分に切って、半分ずつを与えよと提案した時、
左側の女性は布を拡げて待っているのに対し、
中央下の女性は、王にひざまづき、「彼女にあげてもいいから殺さないでくれ」と懇願している。
その様子から、どちらが実母か、明らかになったというストーリー。
この1枚でそのすべてを映し出しているすばらしい作品だなーと感じた。
制作年:1710年
所蔵:ファーブル美術館
フランソワ=グザヴィエ・ファーブル《スザンナと長老たち》
「言うことを聞かねば死刑」
赤白青のトリコロールが印象的だった作品。
勝手に、フランス国旗?って思ってたけど、順番違った!!
制作年:1791年
所蔵:ファーブル美術館
ジョージ・フレデリック・ワッツ《黙示録の四騎士》
「終末のラッパが響くとき」
白い馬、赤い馬、黒い馬、青白い馬に乗った騎士が現れる。
それが、征服、戦争、飢饉、死の姿を意味するのだそう。
制作年:1878年
所蔵:ウォーカー・アート・ギャラリー、リバプール国立美術館
ヘンリー・フューズリ《夢魔》
「眠りとエロス」
馬は情欲の象徴といわれたらしい。
その馬がカーテンからのぞく。
眠りはこまぎれの死という考えもすごく面白い。
女性が苦悶とも恍惚ともとれる表情をしているのも印象的。
制作年:1800-10
所蔵:ヴァッサー大学、フランシス・リーマン・ロブ・アート・センター
ウィリアム・ホガース《娼婦一代記》
「転落の大都会」
モルという女性がロンドンへきてから、
ユダヤ人の妾となり、逮捕され、
感化院での様子、そして梅毒で臨終を迎え、
葬式までを作品で描かれている。
モルは1731年に23歳でなくなっている。
1700年代のロンドンでの様子が垣間見れる作品である。
制作年:1732年
所蔵:伊丹市立美術館
ウィリアム・ホガース《ビール街とジン横丁》
《娼婦一代記》と同じ作家。
ロンドンのリアルを描いていた人。
ビールは高くて税金もかかる飲み物だったのに対し、
ジンは安くアルコールも高いのですぐに酔える貧乏人の飲み物。
「ビール街」という作品ではHappyな様子が描かれているのに対し、
「ジン横丁」では、貧乏人の堕落していく様子が描かれている。
制作年:1750-51
所蔵:郡山市立美術館
ニコラ=フランソワ=オクターヴ・タサエール《不幸な家族(自殺)》
「悲しき屋根裏」
一酸化炭素で自殺しようとする様子が描かれている。
フランスはこの時、どんな時代だったのだろう・・・
制作年:1852年
所蔵:ファーブル美術館
ポール・セザンヌ《殺人》
「セザンヌの闇」
ただただ暗い作品だった。
なんだか暗すぎて、なんだ??っていう。。。
モネやルノワールとともに印象派の画家だったことで知られているけど、
絵のタッチは暗いので、同じ印象派というイメージがない。
制作年:1867年
所蔵:ウォーカー・アート・ギャラリー、リバプール国立美術館
ウォルター・リチャード・シッカート《切り裂きジャックの寝室》
「画家の告白」
1888年にロンドンで起きた世界的にも有名な未解決事件「切り裂きジャック」
その犯人の寝室を描いた作品。
犯人にしか描けないため、シッカートこそジャックなのではという説も浮上している。
怖い!!ただただ怖い!!!!!
シッカートをWikipediaで調べてみたら・・・
もう、犯人なんじゃないかと思ってしまう人相。
個人的に、怖い絵展で出会った作品の中で一番恐怖を感じたのがこの作品。
現実にあるという恐ろしさ・・・
調べれば調べるほど怖ろしい。。
制作年:1906-07年
所蔵:マンチェスター美術館
ゲルマン・フォン・ポーン《クレオパトラの死》
「最後の贈り物」
死ぬ間際、こんなに妖艶な感じなの?
さすがクレオパトラ様!
なんて思ったけど・・・
この作品はあくまでイメージで、実際とは違うらしい。
でも絵画として残ると、その印象が強くなって、
いつしか、嘘が本当であるかのように語り継がれそう。
制作年:1841年
所蔵:ナント美術館
ポール・ドラローシュ《レディ・ジェーン・グレイの処刑》
「どうして。」
今回の怖い絵展の顔となった作品。
制作年:1833年
所蔵:ロンドン・ナショナル・ギャラリー
全体を通して感じたこと
今回の開催、実現するのがすごく大変だったのかなーという感じが展示品から感じられた。
日本の美術館や個人のコレクション所蔵のものが多かった。
でも、今回の展示は大成功だったと思うので
これをきっかけにもっといろんな美術館からお借りして、
第二弾を開催してくれたらいいなーと思った。
今回分けてくれた6つのテーマの中で、
明らかに「悪魔。地獄、怪物」「異界と幻視」には必要以上の興味がわかなかった自分に気づかされた。
音声ガイドについて
音声ガイド、これはどの展覧会でも借りるべきだと思う。
別途550円かかるが、絵画に対する理解度は絶対違う。
どうしても、音声ガイドがある作品のほうが情報に厚みが出るので印象にも残る。
毎回思うのが、展示品が多ければいいんじゃない、
少なくてもいいから、すべてに音声ガイドをつけてほしい。
そうするとすべての作品がフラットにみれて、
その中で本当に自分の印象に残る作品は何か、
自分の好みが明確になる。
待ち時間と所要時間について
わたしは、平日の3時着。
チケットはすぐ買えるが・・・
ここから長蛇の列に並ぶことに。
70分待ちといわれたが、実際は60分で入れた。
この日は雨予報だったので、
人が少ないだろうと予想したところ、
やはり通常よりは少なかったよう。
それでも60分待ち・・・
中に入ってからも、とにかく人・人・人!!!
結果2時間半かかった。
お土産コーナー
買いたいものがいろいろあったけど・・・
ポストカードだけは絶対に買うと決めていて、
たくさん買いたかったけど、3枚セレクト。
買った3枚は上で作品を紹介する際に差し込んでいます。
《切り裂きジャックの寝室》・・・怖すぎて、すでに手放したいwww
物として残らなくても、記憶に十分残ってる作品。
中野京子さんの本、読んでみようと思った。
開催場所・時間
今は、9時~20時で毎日開催中。
12月17日までなので、
気になっている人はぜひ行ってみてほしい!
その際は、絶対ヒールで行かないように。
▼上野の森美術館
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